姫路城から始まる日本名城巡りロードマップ──現存天守をすべて制覇した筆者が教える最強ルート

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現存天守とは何か?日本の名城を旅する前に知っておきたい基礎知識

日本にはかつて数多くの城が築かれましたが、時代の変遷や戦火、都市開発などによって、そのほとんどが失われました。現代において「現存天守」と呼ばれるのは、江戸時代以前に建てられた天守が現地でそのまま残っているものを指します。再建や復元された天守ではなく、当時の材料と技法で築かれ、現在まで保存されているものだけが「現存天守」として認められています。

日本全国に現存天守は12城しかありません。この限られた数の中に、国宝や重要文化財に指定されているものも多く、歴史的価値が極めて高いとされています。現存天守は、単なる観光地以上の存在であり、当時の建築技術、戦略、文化、政治などを物語る“生きた遺産”ともいえるのです。

城の旅をする際に、まずこの現存天守というカテゴリーを理解しておくことは非常に重要です。例えば、同じく有名な大阪城や名古屋城は、戦後に鉄筋コンクリートで再建されたものであり、厳密には「現存天守」ではありません。一方、姫路城や松本城のように、建築当時からの構造を保ったまま残る城は、訪れる際に見る視点や感じ方がまったく変わってくるでしょう。

また、現存天守にはそれぞれの地域で異なる特徴や背景があります。建築様式や規模、天守の用途、敵から守るための工夫など、比較しながら巡ることで、より深い学びと発見を得ることができます。これから始まる日本名城巡りの旅では、この12城すべてを訪ね歩き、各地の歴史と文化を肌で感じていきます。その出発点として、現存天守という概念を頭に入れておくことは、旅の質を大きく高めることにつながります。

姫路城からスタートする理由──白鷺城の美しさとその歴史的価値

日本全国の現存天守の中でも、まず最初に訪れるべきなのが兵庫県にある姫路城です。別名「白鷺城」とも呼ばれるその姿は、白漆喰で塗られた美しい外観と、空へ舞い上がるような優雅な天守群で知られ、まさに名城の中の名城といえる存在です。姫路城は1993年に日本で初めて世界文化遺産に登録された城であり、また国宝にも指定されています。その圧倒的な保存状態と歴史的価値は、国内外から高く評価されています。

姫路城が築かれたのは14世紀後半ですが、現在残っている天守は江戸時代初期、池田輝政によって大規模に改築された際のものです。石垣の配置、狭間(さま)と呼ばれる射撃用の穴、複雑な通路構造など、実戦を想定した工夫が至るところに見られます。それでいて、天守や櫓の配置は美しさも兼ね備え、見る者の目を奪います。

なぜこの旅を姫路城から始めるのか――それは、姫路城が「現存天守の最高峰」ともいえる存在だからです。この城を最初に訪れることで、他の城との比較がより鮮明になり、城めぐりの楽しさが一層深まります。規模、保存状態、美しさ、歴史背景のすべてが揃った姫路城は、まさに“原点にして頂点”という表現がふさわしい名城です。

また、姫路駅から徒歩圏内に城があるというアクセスの良さも、旅のスタート地点として理想的です。市内には宿泊施設や飲食店も充実しており、観光の拠点として非常に便利です。姫路城を中心に据えた旅の第一歩は、確実にあなたの記憶に残る特別な体験になるでしょう。

名城巡りに必要な準備と旅のコツ──効率的に回るためのプランニング術

現存天守をすべて巡る旅は、単なる観光旅行とは異なり、広範囲にわたる移動と、各地の歴史文化に触れるための下調べが必要です。12の城は全国に散らばっており、北は青森の弘前城から、南は愛媛の宇和島城や高知城までを含むため、効率よく巡るにはしっかりとした計画が欠かせません。ここでは、名城巡りの旅をスムーズかつ充実したものにするための準備やコツを紹介します。

まず重要なのは、どの順番で城を巡るかというルート設計です。例えば、姫路城からスタートした場合、西日本の城を先に回ってから東へ進むのが無理のない流れです。交通手段としては、新幹線と在来線を組み合わせたり、レンタカーを活用したりと、状況に応じて柔軟に計画しましょう。特にアクセスが難しい城(丸岡城や宇和島城など)は、公共交通機関だけでは不便なこともあるため、事前に移動手段を確認しておく必要があります。

次に、各地での宿泊先や滞在時間の目安も重要です。現存天守のある城は、その周辺に歴史的な町並みやグルメスポットも多くあります。ただ城を見るだけでなく、地域の文化に触れることも旅の醍醐味です。可能であれば1つの城につき1泊する余裕を持った日程を組むと、焦らずに旅を楽しむことができます。

また、現地で役立つのが「御城印(ごじょういん)」という記念印です。各城でオリジナルの御城印を集めることで、旅の記録にもなり、モチベーションの維持にもつながります。御城印帳を持参しておくと便利ですし、最近ではアプリでスタンプラリーのように記録できるサービスも増えてきました。

服装や持ち物についても準備が必要です。山城や石段の多い場所では、歩きやすい靴と動きやすい服装が基本です。天候によっては傘やレインコートも必要になるため、旅の途中で困らないように軽装ながらも万全の備えをしておきましょう。特に山城の場合、飲み物や軽食も持参した方が良い場合があります。

このように、城巡りは事前準備が旅の質を左右します。無理なく、しかし確実に12城を制覇するために、しっかりと計画を立て、体力と心に余裕を持って旅を楽しんでください。

松本城で感じる戦国の息吹──中部地方の名城と城下町の魅力

長野県に位置する松本城は、姫路城と並ぶ国宝天守のひとつであり、現存天守の中でも特に黒く美しい外観から「烏城(からすじょう)」の愛称でも知られています。そのシックな佇まいは、白い姫路城と対照的で、見る者に戦国の緊張感と威厳を感じさせます。松本城の魅力は、そのデザインと保存状態の素晴らしさだけではありません。背後に広がる北アルプスの山並みとの調和が、まるで一枚の絵画のような風景を作り出しており、訪れる者を一瞬にして魅了します。

松本城の天守は五重六階という構造を持ち、築城当時の実戦的な設計が随所に残っています。石落としや鉄砲狭間、急な階段など、城が戦のための拠点だったことを思い起こさせるディテールが見どころです。中に入ると、木の香りが残る重厚な空間が広がっており、まるで戦国時代にタイムスリップしたかのような感覚を味わえます。天守最上階から眺める景色も格別で、晴れた日には北アルプスの絶景が一望できます。

さらに松本は、城下町としての風情も色濃く残っている都市です。松本城の周辺には、縄手通りや中町通りといった、江戸時代の面影を残す町並みが広がっています。古民家を改装したカフェや土産物店が軒を連ね、散策するだけで楽しい時間を過ごせます。夜にはライトアップされた松本城が幻想的な姿を見せ、昼間とは異なる雰囲気に包まれます。

また、松本は文化と芸術の街としても知られており、松本市美術館や音楽フェスティバルなど、城以外の見どころも豊富です。訪れる時期によっては、桜や紅葉といった自然の美しさも楽しめ、四季折々の魅力が詰まっています。中部地方に足を運ぶ際には、ぜひ松本城を中心に旅程を組んでみてください。戦国時代の息吹と現代の文化が融合する、心に残るひとときが待っています。

犬山城から見下ろす木曽川の絶景──東海地方で味わう歴史と自然

愛知県の最北端に位置する犬山城は、現存天守の中で最も古い建築のひとつとされており、1537年に織田信長の叔父・織田信康によって築かれました。国宝に指定されているその天守は、質素ながらも美しい木造建築が特徴で、戦国時代の実用性を色濃く残す貴重な建築物です。犬山城の最大の魅力は、天守最上階から見下ろす木曽川の絶景です。川面がきらめき、遠くには岐阜城や山並みが広がるその風景は、自然と歴史が見事に調和した瞬間を提供してくれます。

犬山城の天守は三層四階の小ぶりな構造ですが、そのシンプルさがかえって天守の原型ともいえる佇まいを際立たせています。内部は木の温もりに満ちており、急な階段や柱に触れるたびに、築城当時の空気感をリアルに感じることができます。バルコニーのように外に張り出した「廻縁(まわりえん)」は、現存天守の中でも非常に珍しく、ここに立って木曽川を見渡す時間は、他のどの城でも味わえない特別な体験です。

犬山城は、かつて個人所有されていた唯一の城としても知られており、2004年に財団法人に移管されるまで、成瀬家が代々守ってきたという独特の歴史があります。このような背景も含めて、犬山城には他の城とは違った親しみやすさと人間味があります。

周辺の犬山城下町も見逃せません。江戸時代の風情を感じさせる町並みに加え、グルメやスイーツ、着物レンタルなどの観光体験も豊富です。特に「恋小町だんご」や「犬山バーガー」など、SNS映えする名物グルメが若い観光客に人気で、歴史と現代が交差する観光地としての魅力を放っています。

また、近隣には「明治村」や「リトルワールド」など、歴史・文化を体験できる施設も点在しており、犬山を拠点に一日たっぷり楽しむことができます。城巡りの中でも、自然の美しさと人々の暮らしが密接に絡み合うこの地域は、特別な一日を演出してくれること間違いありません。

彦根城とひこにゃんの町歩き──近江の文化と現代の調和を楽しむ

滋賀県彦根市に位置する彦根城は、国宝五城のひとつであり、現存天守としても非常に保存状態がよく、歴史的価値が高い城です。1604年、徳川家の譜代大名である井伊直継と井伊直孝によって築かれ、以来、幕末まで井伊家が城主を務めました。江戸幕府を支えた譜代大名の拠点として、幕政にも深く関与していたこの城は、単なる地方の城を超えた重要な政治・文化の拠点でもありました。

彦根城の天守は三重三階で、屋根の曲線が非常に美しく、近くで見ると繊細な意匠に驚かされます。屋根瓦や破風の飾りには桃山文化の影響が色濃く残されており、戦国の実用性と江戸の美意識が見事に融合しています。天守内部は木造の質感が残っており、急な階段や梁の構造など、築城当時の工夫がそのまま見て取れます。高台に位置する天守からは、琵琶湖と市街地を一望することができ、眺望も素晴らしいです。

そして彦根城といえば、マスコットキャラクター「ひこにゃん」の存在が多くの観光客に親しまれています。ひこにゃんは、井伊家の赤備えの甲冑と、頭に猫耳の兜をかぶった愛らしい姿で、城の広報大使として全国的に知られる存在となっています。登場時間には多くの観光客が集まり、子どもから大人まで和やかな雰囲気に包まれるのが彦根城のもう一つの名物です。

城周辺には、城下町としての風情を残す「夢京橋キャッスルロード」が広がっています。ここでは、江戸風の町家が並び、伝統工芸品や地元グルメが味わえるお店が軒を連ねます。特に近江牛の握りやコロッケ、鮒寿司などは、ここならではの味覚として試す価値があります。

また、彦根は交通の便も良く、関西や中部地方からのアクセスが容易な点も魅力のひとつです。日帰りでも十分に楽しめますが、できれば宿泊して夜のライトアップや朝の静かな城の風景も味わってほしいところです。歴史ある城と現代の観光要素が絶妙に調和する彦根城は、名城巡りの中でも非常にバランスの取れた訪問地といえるでしょう。

丸岡城で出会う最古の天守──北陸地方に残る渋い歴史ロマン

福井県坂井市にある丸岡城は、日本最古の現存天守とされる貴重な城であり、全国の現存天守12城の中でもひときわ異彩を放つ存在です。1576年、柴田勝家の甥である柴田勝豊によって築かれたとされ、戦国時代の荒々しさと、素朴で堅牢な城の美が共存しています。小規模ながら、石垣や屋根の設計において非常に古風な特徴を持ち、まさに“原始的な天守”といえる構造が残っている点が、歴史好きにはたまらないポイントです。

丸岡城の最大の特徴は、その屋根に用いられた「笏谷石(しゃくだにいし)」です。この石は福井市周辺で産出される青みがかった火山性の凝灰岩で、屋根瓦として使用された例は非常に珍しく、天守の外観に独特の重厚感を与えています。実際に見上げると、他の城に比べてずっしりとした印象を受け、戦乱の時代に築かれた防衛拠点としての説得力を感じるでしょう。

また、丸岡城はその天守へのアクセスが非常に独特です。内部にある階段は、急勾配で非常に狭く、手すりをしっかりと掴まなければ昇降が困難なほど。これは、敵の侵入を防ぐための工夫でもあり、築城当時の防衛設計が今なお生きている証です。登り切った最上階からは、坂井平野を見渡すことができ、晴れた日には遠く白山を望むこともできます。

丸岡城には、「片葉の葦」や「人柱お静」など、数々の伝説も残されています。中でも、城の基礎工事がうまくいかず人柱を立てたという悲しい物語は、地元で語り継がれる民話のひとつであり、城の背景にある人間ドラマを感じさせてくれます。小規模な城でありながら、そうした歴史的・文化的エピソードが多く残されている点も、訪れる価値を一層高めています。

さらに、丸岡城周辺には「霞ヶ城公園」が整備されており、春には約400本の桜が咲き誇る名所としても知られています。「日本さくら名所100選」にも選ばれており、天守と桜の共演は訪れた者の心を和ませてくれる絶景です。時代を超えて残る日本最古の天守に触れながら、静かな北陸の町で歴史ロマンに浸る時間は、名城巡りの中でもひときわ深い印象を残すことでしょう。

松江城と宍道湖の夕日──山陰地方の風情と武家文化を堪能する

島根県の県庁所在地、松江市にそびえる松江城は、現存天守12城の中でも貴重な存在で、2015年には国宝にも指定されました。山陰地方唯一の現存天守であり、「千鳥城」という愛称でも親しまれています。この城は、堀尾吉晴が1607年に築いたもので、完成まで約5年を要しました。天守は五層六階建てで、黒い下見板張りの外観が特徴的で、堂々とした姿が城下町に威厳を与えています。

松江城の魅力は、その構造と保存状態の良さに加えて、周辺環境との調和にあります。城の周囲を囲む堀川は、今も遊覧船で巡ることができ、江戸時代の風情を体感することが可能です。城を外から眺めることで、より立体的にその構造や設計思想を理解できるのは、この松江城ならではの楽しみ方です。また、城の内部には松江藩の歴代藩主に関する展示もあり、山陰地方の武家文化や政治史を学ぶこともできます。

天守の最上階に登ると、松江の町並みだけでなく、日本海や宍道湖まで見渡すことができる素晴らしい眺望が広がります。特に夕方、宍道湖に沈む夕日は「日本夕日百選」にも選ばれており、旅のクライマックスにふさわしい絶景です。時間を調整して夕方に天守に登ると、刻々と変わる光のグラデーションの中に浮かび上がる城の影が、まるで絵画のような美しさを演出してくれます。

松江城の周辺には、武家屋敷や小泉八雲記念館、茶室「明々庵」など、静かな文化スポットが点在しています。松江は茶の湯文化が根付く街としても知られており、旅の合間に本格的なお抹茶を味わう時間を設けるのもおすすめです。観光客の多くは、城を見るだけでなく、こうした周辺の落ち着いた雰囲気にも魅了され、リピーターになるほどです。

また、松江は比較的静かな観光地でありながら、アクセスも良好です。出雲大社や玉造温泉といった他の名所とも組み合わせて旅程を組めば、より充実した山陰の旅となるでしょう。歴史、風情、自然が見事に調和する松江城は、名城巡りの中でも、時間の流れが穏やかに感じられる特別な場所です。

宇和島城で知る南予の戦国史──四国の知られざる名城の魅力

愛媛県南部の宇和島市に位置する宇和島城は、四国で現存天守を持つ数少ない城のひとつであり、その存在は決して派手ではないものの、知る人ぞ知る名城です。築城は1601年、築城主は藤堂高虎。築城の名手として知られる彼が手がけたこの城は、戦国末期から江戸初期にかけての防衛機能と美観を両立させた秀逸な構造が特徴です。現在残っている天守は、江戸時代中期の再建であり、こぢんまりとした三重三階の造りながらも、実に品のある佇まいを見せてくれます。

宇和島城の天守が建っているのは、標高約80メートルの小高い山の上。市街地の中心部から登ることができ、約10~15分ほどの軽いハイキングを楽しみながら辿り着けます。登城路は緑豊かで、途中には石垣や門跡が点在しており、歴史を感じながら歩けるのが魅力です。山頂に立つ天守は、遠くからも見える白壁が目を引き、青空や夕暮れ時には特に美しく映えます。

城の内部は非常に質素ながらも、堅実な構造が特徴です。細部に残る江戸中期の建築様式や、木の質感、古びた柱の一つひとつに当時の職人の手仕事が感じられ、派手さよりも本物志向の城好きに深く刺さる魅力があります。また、最上階からの眺望も素晴らしく、宇和島湾と市街地を一望できる景色は、長い歴史の中で城主たちが見てきた風景を追体験できる貴重なひとときです。

宇和島城の周辺には、南予地域特有の文化が色濃く残っています。特に、郷土料理の「じゃこ天」や「鯛めし」は訪れたら必ず味わいたい名物です。また、宇和島は伊達家が治めた藩としても知られており、「宇和島伊達家」と呼ばれる分家の文化や、武家屋敷跡、歴史資料館なども充実しています。歴史を学びながら地域の個性に触れることができるのが、宇和島城巡りの大きな魅力のひとつです。

四国の中でもアクセスがやや不便な場所にあるため、訪れるにはある程度の時間を要しますが、そのぶん静かで落ち着いた空気の中でじっくりと城の魅力に浸れるのが宇和島城の強みです。名城巡りの中でも、知名度の割に満足度が非常に高い“通好み”の城として、旅程に組み込む価値は十分にあります。

高知城と坂本龍馬の足跡──幕末の風が吹く土佐の旅

四国・高知県の中心部に位置する高知城は、日本の現存天守12城の中でも特に貴重な存在です。その理由は、天守だけでなく本丸御殿を含む本丸の建築群が、当時の姿のまま完全に残っている点にあります。これは全国でも高知城のみの特徴であり、天守を中心とした総合的な城の姿を今に伝える稀有な城です。築城は1601年、初代土佐藩主・山内一豊によって始まり、10年余りをかけて完成しました。

高知城の天守は、三層六階の重厚な構造を持ち、外観は白壁と黒漆喰が調和した端正な佇まいです。内部は木造のぬくもりが残っており、急な階段や梁の構造、美しい欄干など、江戸初期の建築技術を間近に感じることができます。天守からの眺望は圧巻で、高知市内を一望できるほか、晴れた日には太平洋まで望むことができます。まさに土佐の雄大な自然と歴史が交差する場所です。

高知城がある高知市は、幕末の志士・坂本龍馬ゆかりの地としても知られています。城から歩いて行ける範囲に「高知県立坂本龍馬記念館」や「龍馬生誕地の碑」、「桂浜」など、彼の足跡をたどれるスポットが多数点在しています。高知城を訪れた後に龍馬の生涯に触れることで、土佐の歴史がより立体的に理解できるようになるでしょう。

また、城下の町並みも非常に魅力的です。城のすぐそばには「ひろめ市場」があり、地元の人々と観光客でにぎわう活気あるフードマーケットでは、高知名物のカツオのたたきをはじめ、土佐料理の数々を気軽に楽しめます。旅の疲れを癒すひとときとして、地酒と一緒に味わう地元の味は格別です。

高知城は、その構造と保存状態の素晴らしさに加え、地域全体に根ざした歴史文化、そして幕末の英雄たちとのつながりが色濃く残る点で、他の現存天守とは一線を画しています。名城巡りの中でも、単なる建築鑑賞にとどまらず、歴史の流れを体感できる「物語のある城」として、旅の大きなハイライトになることでしょう。

備中松山城への山城トレッキング──雲海に浮かぶ天空の要塞を目指す

岡山県高梁市にそびえる備中松山城は、日本三大山城のひとつとして知られ、現存天守を持つ城の中で最も高い位置、標高約430メートルに築かれています。その立地から「天空の城」とも呼ばれ、早朝に訪れれば、雲海に浮かぶ幻想的な姿を見ることができることでも人気です。この自然との調和が生み出す風景は、写真愛好家や城ファンのみならず、多くの旅人を魅了してやみません。

この城の大きな特徴は、まさに「山城」であるという点です。アクセスは簡単ではなく、麓の駐車場から登山道を20〜30分ほど登る必要があります。しっかりとしたトレッキングシューズと、動きやすい服装で臨むことが求められますが、それだけの労力を払う価値が備中松山城には確実にあります。登る道中には、岩盤を削った石垣や、自然地形を活かした防御構造などが随所に見られ、山城としての機能美を体感できます。

天守はこぢんまりとした二層二階の建築ですが、室町時代からの構造を残す極めて貴重な遺構です。石垣の間を縫うように建てられた天守とその周囲の建築群は、攻め入る敵をことごとく困難にするような緻密な設計となっており、まさに山城の真骨頂です。内部には江戸時代の備中松山藩の資料が展示されており、歴史の背景を深く知ることもできます。

また、雲海のベストシーズンは10月から12月にかけての冷え込んだ早朝。高梁市が設けた「雲海展望台」から眺める城の姿は、まるで絵巻物から抜け出したかのような荘厳さ。早朝からの行動にはなりますが、その瞬間に出会えた旅人には一生の思い出となることでしょう。

城の麓にある高梁の町も、歴史情緒に満ちた小さな城下町で、散策にぴったりのスポットです。頼久寺や武家屋敷、歴史民俗資料館なども点在しており、歩くごとに発見がある場所です。また、地元食材を使ったレストランやカフェも増えており、下山後に地元の味でほっと一息つくのもおすすめです。

備中松山城は、単なる観光地としてではなく、登ってこそ味わえる“体験型”の名城です。自らの足で辿り着き、眼前に広がる景色を目に焼きつける――そんな旅の醍醐味を、心と体で味わえる場所です。

弘前城と桜の名所巡り──東北地方で春を満喫する歴史旅

青森県弘前市に位置する弘前城は、現存天守を持つ唯一の東北地方の城として、その歴史的価値はもちろん、春になると桜の名所として全国から注目を集める特別な存在です。現存天守としては比較的小規模な三重三階の天守ですが、城郭全体がしっかりと保存されており、濠や石垣、門や橋などが一体となって歴史の風景を形成しています。とりわけ桜の時期に見られる「弘前城と満開の桜」は、日本の春を象徴する光景のひとつとして、多くの人々に感動を与え続けています。

弘前城の築城は1611年、津軽為信の子・信枚によって完成されました。現在残る天守は、1810年に落雷で焼失後、再建されたもので、当時の技術と様式を忠実に再現したものです。そのため、現存天守の中では比較的“新しい”部類に入りますが、それでも江戸時代の木造建築として大変貴重なものです。

城の魅力を最大限に味わえるのはやはり春、約2,600本の桜が城の敷地内に咲き誇る「弘前さくらまつり」の時期です。外濠や内濠に枝を垂らす桜と、それに映る天守、そして散った花びらが水面に浮かぶ「花筏(はないかだ)」は、まさに言葉を失うほどの美しさです。夜にはライトアップも行われ、昼とは違う幻想的な世界が広がります。この期間中は、全国からの観光客でにぎわい、露店やイベントも多数開催され、城全体がひとつの巨大なテーマパークのようになります。

しかし、弘前城の魅力は桜だけではありません。秋には紅葉、冬には雪化粧をまとった風情ある姿が楽しめるなど、四季折々の表情を見せてくれます。また、城下町の弘前市もまた、見どころが満載です。和洋折衷の建築が点在するレトロな街並み、津軽三味線の音色が響く伝統文化、リンゴを使ったグルメやスイーツなど、地域全体が個性と魅力に溢れています。

さらに、弘前城は「石垣修理工事」のため、天守が仮移転されている期間もあります。これは他の現存天守ではまず見られない珍しい光景で、工事中であっても訪問価値が非常に高いといえます。むしろその過程を見学できるのは貴重な機会ともいえるでしょう。

東北の歴史と自然が調和する弘前城は、名城巡りの締めくくりにふさわしい静謐さと、心を癒す美しさを兼ね備えています。訪れれば、きっと“また来たい”と思わせてくれる、そんな力を持った城です。

名城巡りの締めくくりに──現存天守すべてを訪れた筆者が語る感動と余韻

12の現存天守をすべて巡り終えたとき、筆者の胸に去来したのは、単なる「達成感」ではありませんでした。それぞれの城が持つ個性、その地で育まれた歴史や文化、そして地元の人々とのふれあい……そうしたすべてが、旅を重ねるたびに積み重なり、一つの壮大な物語を形作っていったのです。城巡りとは、ただ建築物を見て回る旅ではなく、日本の歴史と文化を体で感じ、心で受け止めていく体験なのだと、深く実感しました。

姫路城に始まり、松本城や犬山城で戦国の空気を吸い、丸岡城や松江城で地域ごとの文化と対話し、高知や弘前では幕末や藩政の香りに包まれる――それぞれの城が「時代」や「地方」を象徴する存在として、唯一無二の色を放っていました。中でも、備中松山城のような山城では自らの足で登り、汗を流してたどり着いた先にある天守の姿が、旅の達成感をひときわ強くしてくれました。

また、筆者にとってこの旅の副産物として非常に印象深かったのは、人との出会いです。各地で話を聞かせてくれたガイドの方、宿の主人、観光案内所のスタッフ、そして偶然出会った他の城好きな旅行者たちとの会話の中に、その土地の魅力や誇りがにじみ出ていました。旅を終えた今も、それぞれの地で交わした言葉の数々が記憶の中に温かく残っています。

すべての現存天守を巡ることは、確かに時間と労力を要する挑戦です。しかし、その過程こそが最大の価値であり、最後の城にたどり着いたときには、ただスタンプを埋める旅とはまったく異なる、深く豊かな“記憶”が自分の中に刻まれていることに気づきます。そしてふとした時に、姫路城の白さ、犬山城の木曽川の流れ、松江城から見た宍道湖の夕日が、ありありと思い出されるのです。

もし、これから現存天守巡りを始めようとしている人がいれば、筆者は全力で背中を押したいと思います。どこから始めても構いません。時間をかけて、ひとつひとつ丁寧に巡ってみてください。そこには、インターネットや書籍では得られない、五感で味わう「日本の歴史」が確かにあります。そしてきっと、あなた自身の旅の物語が、ひとつひとつの城を通して形作られていくはずです。

旅の途中で出会った名物グルメたち──地域ごとの味覚を楽しもう

現存天守を巡る旅の大きな楽しみのひとつが、各地の名物グルメとの出会いです。城を訪れた後に、その土地でしか味わえない料理を堪能することで、旅の記憶がより鮮やかに、深く残ります。実際、筆者が名城を巡るなかで体験した「食」の魅力は、単なるエネルギー補給にとどまらず、その土地の歴史や文化を“味覚”から理解する重要な手がかりとなりました。

例えば、姫路城を訪れた際には、地元名物の「穴子料理」が印象に残っています。炭火でふっくらと焼き上げられた穴子丼や、あっさりとした味付けの煮穴子は、瀬戸内の恵みを感じさせる一品。松本城のある長野では、信州そばと野沢菜漬けが定番で、山の幸を活かした素朴な味わいが旅の疲れを癒してくれました。

犬山城のある愛知では、味噌カツや味噌煮込みうどんなど、赤味噌文化が根付いた食事が魅力です。特に、城下町で販売されている「犬山バーガー」や「恋小町だんご」などは、見た目にも華やかでSNS映えもばっちり。彦根では、近江牛を使ったステーキやコロッケが人気で、城下町の風情ある通りを歩きながら手軽に楽しめるグルメスポットが点在しています。

北陸の丸岡城周辺では、越前そばやおろし蕎麦が定番。冷たいつゆにたっぷりの大根おろしが入ったこの蕎麦は、食欲のない日でもつるりと食べられる、福井ならではの郷土料理です。松江城がある島根では、「出雲そば」や「しじみ汁」、「和菓子」などが有名。特に松江は茶の湯文化が根付いており、抹茶と季節の和菓子を楽しむ時間は、旅に静けさと品格を与えてくれます。

南国・高知では、何といっても「カツオのたたき」。分厚く切られたカツオにニンニクやネギを添え、ポン酢で食べるスタイルは地元ならでは。ひろめ市場で地元の人々と肩を並べて味わうカツオのたたきと地酒は、旅のハイライトの一つになることでしょう。宇和島では「鯛めし」や「じゃこ天」、弘前では「りんごスイーツ」や「けの汁」など、郷土色の強い料理が旅人の舌を楽しませてくれます。

このように、日本各地の現存天守を巡る旅は、歴史や建築だけでなく「味覚の旅」としても極めて豊かなものです。城を訪れた後、その土地の食を通じて文化や暮らしを知ることで、旅はより立体的に、心に残るものになります。ぜひ、次の名城を訪れる際には、その土地の食も楽しむことを忘れないでください。

すべての城好きに捧げる究極のモデルコース──あなたも天守完全制覇へ

12の現存天守を巡る旅は、一生に一度の贅沢な時間になるかもしれません。とはいえ、全国に点在するこれらの城を無計画に訪れるのは非効率です。そこで、これから名城巡りを始めたいという人のために、筆者の実体験をもとに考案した「究極のモデルコース」を紹介します。効率よく回れるルートを押さえながら、旅の感動をしっかりと積み重ねられる構成になっています。

まず、スタート地点としておすすめなのが「姫路城」。関西圏からのアクセスが良く、旅の出発点として申し分ないだけでなく、その壮麗な姿は旅の士気を高めてくれる最良の一歩になります。ここから西へと進み、岡山県の「備中松山城」、そして四国の「高知城」と「宇和島城」を巡ります。このエリアは山城あり、海沿いの城ありとバリエーション豊かで、体験にリズムをつけるのに適しています。

四国を巡った後は、本州に戻って「丸岡城」(福井県)を目指します。ここは北陸新幹線や特急列車の利用を考慮すれば、移動もスムーズです。その後、「松江城」(島根県)に足を伸ばすのもおすすめ。アクセスはやや不便ですが、その分、静かで濃密な体験が待っています。ここまでで約半分の城を制覇することになります。

旅の後半は、中部・東海から関東方面へと北上していきます。「犬山城」(愛知)、「松本城」(長野)、「彦根城」(滋賀)を続けて訪れるのが理想的です。これらの城は比較的近接しており、公共交通機関での移動もしやすいため、3日〜4日ほどあればじっくり巡ることができます。

そして、最後の締めくくりは「弘前城」(青森)です。地理的には最も北に位置しますが、東北新幹線で東京からのアクセスも悪くありません。春の桜シーズンに合わせて訪れることで、旅のフィナーレを最高の景色で飾ることができます。弘前を最後にすることで、旅の終わりに“日本の四季”を象徴する体験ができ、余韻も一層深まります。

このモデルコースは、2週間程度の時間が確保できれば、ややゆとりを持ちながらも現存天守すべてを訪れることが可能です。もちろん、数年かけてゆっくりと一城ずつ巡るスタイルでもかまいません。大切なのは、各地での滞在を“記録”ではなく“記憶”としてしっかり心に刻むこと。スタンプラリーのように急ぎすぎず、それぞれの土地の空気を味わいながら旅することこそが、名城巡りの本質です。

あなたの旅が、歴史と風景、そして出会いに満ちた豊かな時間となりますように。さあ、最初の一歩を踏み出してみてください。名城の旅は、きっとあなたに新しい日本の姿を見せてくれるはずです。

まとめ

現存天守12城を巡る旅は、日本の歴史・文化・風景、そして人々とのふれあいを深く味わう、まさに“日本再発見”の旅と言えるでしょう。それぞれの城には異なる表情があり、戦国の荒々しさ、江戸の華やかさ、地域文化の個性などが混在しながら、今も静かに語りかけてきます。姫路城の圧倒的な美しさ、備中松山城の登山体験、松江城のしっとりとした風情、弘前城の桜の絶景──どれもが一つの物語であり、それぞれが記憶に深く刻まれる体験となります。

この記事では、現存天守とは何かという基礎知識から始まり、各城の特徴や魅力、アクセスや周辺情報、そして効率的なモデルコースまでをご紹介してきました。また、旅の楽しみとして欠かせないご当地グルメや、筆者が実際に現地で感じた余韻、そしてすべてを巡ったからこそ得られた感動についてもお伝えしました。

現存天守をすべて訪れるという目標は、一見すると大きな挑戦のように思えるかもしれません。しかし、一歩を踏み出せば、その先には想像以上の出会いと発見が待っています。それぞれの城が、訪れるたびに新しい視点を与えてくれ、旅をするごとに自分自身も少しずつ成長していく──それが名城巡りの醍醐味です。

すべての旅は、ひとつの決意から始まります。この記事を読んで、少しでも現存天守の旅に興味を持たれたなら、ぜひ最初の城を訪れてみてください。歴史の中に立ち、自分の目で日本の美しさと奥深さを感じることで、きっと新しい旅の扉が開くはずです。

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