松本城から始まる中部地方の名城巡りルート完全解説！歴史と風景を楽しむ贅沢な1週間

中部地方の名城巡りを楽しむための基本情報と旅の魅力

日本の中央部に位置する中部地方には、歴史と風景が見事に調和した名城が数多く点在しています。戦国時代や江戸時代に築かれたこれらの城は、単なる観光地としての魅力だけでなく、日本の歴史や文化を肌で感じられる貴重なスポットとして、多くの人々を惹きつけています。特に国宝に指定されている松本城や犬山城は、保存状態の良さとその美しさから、国内外から高い評価を受けています。

中部地方の名城巡りの魅力は、単に城を訪れることだけではありません。それぞれの城には、当時の武将たちの戦略や美意識が込められており、城ごとに異なる物語を感じることができます。また、城下町には当時の町並みを再現したエリアや、地元の文化を色濃く残す飲食店、土産物店も多く、歩くだけでも楽しいエリアとなっています。

さらに、中部地方は鉄道やバス、高速道路が発達しており、公共交通機関を使っての移動が比較的スムーズに行える点も大きな利点です。1週間程度のスケジュールであれば、主要な名城を効率的に巡ることが可能です。春の桜、秋の紅葉など季節ごとの美しい風景とともに城を訪れることで、写真映えもばっちり。旅全体が心に残る思い出になること間違いありません。

このように、中部地方での名城巡りは歴史好きはもちろん、自然やグルメ、地域文化に触れたい旅行者にもおすすめのプランです。この記事では、松本城を起点にした中部の名城巡りルートと、その魅力を徹底的に紹介していきます。

松本城：国宝が誇る黒の美しさと城下町の風情を満喫

長野県松本市に位置する松本城は、現存する五重六階の天守を持つ日本有数の名城であり、その漆黒の外観から「烏城（からすじょう）」の愛称でも親しまれています。戦国時代末期に築かれたこの城は、当時の軍事的機能と美的センスが見事に融合した構造を持ち、現在は国宝に指定されています。その保存状態の良さは国内でも屈指であり、内部の木造建築や急な階段など、戦時の備えを感じられる部分がそのまま残されています。

松本城の魅力は天守だけにとどまりません。周囲を囲む堀や石垣も美しく、特に晴れた日の水面に映る天守の姿は絵画のような美しさを誇ります。春には満開の桜が堀を彩り、秋には紅葉と城のコントラストが見事で、四季を通じて訪れる価値があります。写真愛好家にとっても絶好の撮影スポットとして人気です。

また、松本市の城下町には風情ある古民家やレトロな商店街が残っており、散策するだけでも楽しめます。「中町通り」や「縄手通り」には、地元の工芸品や和菓子、そばなど信州ならではのグルメを楽しめる店が立ち並び、旅の合間に立ち寄るのにぴったりな場所です。特に地元産のそば粉を使用した十割そばは、多くの観光客が舌鼓を打つ名物料理です。

文化施設としては、「松本市立博物館」や「旧開智学校」など、歴史と教育に触れられるスポットもあり、子ども連れの家族旅行にも適しています。松本城は単なる観光スポットにとどまらず、地域全体が歴史的空間として調和している点が大きな魅力です。

上田城：真田家の知略が光る城跡と歴史ロマンに浸るひととき

松本から北東に位置する上田市にある上田城は、戦国時代の名将・真田昌幸によって築かれた堅城として知られています。特に「第一次上田合戦」および「第二次上田合戦」では、少数の兵で徳川軍を二度にわたって撃退したという逸話が残っており、その戦略性と防御力の高さが今も語り継がれています。現在の上田城は天守こそ残っていないものの、城跡公園として整備されており、真田家の栄光を感じられるスポットとして人気です。

城跡の入り口にある「東虎口櫓門」は、当時の威厳を感じさせる立派な構造で、記念写真の定番スポットでもあります。城跡周辺には真田石と呼ばれる巨大な石があり、これがまた多くの観光客の注目を集めています。真田家にまつわる伝承が多数残っており、真田幸村やその家族に思いを馳せながら歩くことで、歴史ロマンがより深く心に響くことでしょう。

春には千本桜が咲き誇り、城跡公園は一大お花見スポットとなります。また、秋の紅葉時期も人気が高く、地元の人々にも愛される自然豊かな空間です。園内には「上田市立博物館」も併設されており、真田家や上田藩に関する資料が数多く展示されています。ここを訪れれば、歴史背景への理解がさらに深まり、城跡の見学も一層興味深くなるでしょう。

さらに、上田市には「信州上田真田丸大河ドラマ館」が期間限定で開設された過去もあり、大河ドラマファンにとっても特別な場所です。地元の名物グルメとしては、上田名物の美味だれ焼き鳥や信州そばがあり、城巡りの合間に立ち寄ることで旅の楽しみが広がります。上田は城跡の美しさだけでなく、街全体に真田家の歴史が息づいており、歩くごとに新たな発見がある町です。

小諸城址懐古園：自然と調和した幻想的な城跡で心癒される旅

長野県小諸市にある小諸城は、日本でも珍しい「穴城」として知られており、城の本丸が城下町よりも低い場所に位置するという珍しい構造を持っています。この小諸城址は現在「懐古園」として整備され、城跡の歴史的価値と自然の美しさが見事に融合した憩いのスポットとなっています。春の桜、夏の緑、秋の紅葉、そして冬の雪景色と、四季折々で異なる魅力を見せてくれる場所でもあります。

懐古園内には、かつての大手門や三の門などが現存しており、往時の城の規模や雰囲気を感じさせてくれます。また、文人・島崎藤村が教師として赴任していた縁で、園内には藤村記念館もあり、文学と歴史が交差する空間としても親しまれています。城跡だけでなく、園内には小動物園や遊園地も併設されており、家族連れでも楽しめるように工夫が凝らされています。

特に秋の紅葉シーズンには、懐古園一帯が燃えるような赤や橙に染まり、幻想的な景色が広がります。石垣と紅葉のコントラストは絵画のような美しさを誇り、写真を撮る観光客でにぎわいます。懐古園を歩くと、単なる史跡見学を超えた、心が洗われるような癒しの時間を味わうことができるでしょう。

また、園の外には小諸駅からすぐアクセスできる「小諸市街地」が広がり、地元の野菜や果物を使った料理が楽しめるカフェや食堂が点在しています。中でも小諸産のりんごやブドウを使ったスイーツは絶品で、観光客にも好評です。小諸城址は、歴史・自然・文化のすべてが静かに溶け合う場所であり、名城巡りの途中でひと息つくのにぴったりの立ち寄り地といえます。

犬山城：木曽川を望む国宝天守と城下の食文化を堪能

愛知県犬山市にある犬山城は、現存する日本最古の木造天守を誇る貴重な城であり、国宝に指定されています。天文6年（1537年）に織田信康によって築かれたとされるこの城は、江戸時代を通じて成瀬家が藩主として治め、現在に至るまでその姿を保ち続けています。城は木曽川の断崖の上に建てられており、天守最上階から望む木曽川の流れとその向こうに広がる濃尾平野の風景は、まさに絶景。晴れた日には遠く岐阜城までも視界に収めることができます。

犬山城の天守は、手すりなどの安全設備が最小限に抑えられており、当時の雰囲気を忠実に再現しているため、足元に注意をしながら登るスリルも醍醐味の一つです。内部の階段も非常に急で、登る際には当時の武士たちの体力や日常を想像しながら歩を進めると、歴史のリアリティがより深く感じられるでしょう。

犬山城を訪れた際には、周辺の城下町散策も欠かせません。城の南側に広がる「本町通り」には、古い町並みがそのまま残されており、風情ある景観の中で食べ歩きを楽しむことができます。五平餅、串グルメ、和スイーツなど、観光客に人気のグルメが並び、地元の素材を生かした味わいが魅力です。週末や観光シーズンには、浴衣を着た観光客の姿も多く、情緒あふれる雰囲気の中で食と歴史を堪能できます。

さらに、犬山城周辺には「犬山成田山」や「有楽苑」といった文化施設も点在しており、城だけではない見どころも豊富です。特に有楽苑には、国宝の茶室「如庵」があり、日本の茶道文化を深く学ぶことができます。犬山城は、短時間の観光でも満足感が得られる場所でありながら、ゆったりと滞在すればするほどその奥深さに気づかされる、実に多面的な魅力を持つ城です。

岐阜城：信長の野望が息づく山上の絶景と金華山の自然探訪

岐阜県岐阜市にある岐阜城は、織田信長が天下布武を掲げたことで知られる象徴的な城です。標高329メートルの金華山山頂に建てられており、城にたどり着くまでにはロープウェイもしくは登山道を使う必要があります。このアクセスの手間が、かえって旅の高揚感を高めてくれるのが岐阜城の魅力のひとつです。頂上に立つと、濃尾平野を一望できる圧巻のパノラマが広がり、信長が見たであろう天下への視界を追体験できます。

現在の岐阜城は昭和時代に再建されたものですが、外観は忠実に再現されており、内部は岐阜市歴史博物館の分館として、当時の甲冑や武具、岐阜城の歴史に関する資料が展示されています。信長の政治理念や城下町の発展の様子などもわかりやすく解説されており、歴史ファンにとっては見逃せないスポットです。

岐阜城へ登る金華山は、自然豊かな環境に囲まれており、登山道も複数整備されています。「馬の背登山道」などはやや険しいコースですが、健脚の方には人気があり、登山と歴史探訪を同時に楽しむことができます。登山が苦手な方でも、ロープウェイを使えば山頂まで数分でアクセスでき、老若男女問わず楽しめるようになっています。

城下町の岐阜市街地では、長良川鵜飼などの伝統文化体験も可能で、特に夏の夜には幻想的な風景が広がります。また、岐阜城を見上げるように位置する「岐阜公園」では、四季折々の花々や自然が広がっており、のんびりとした時間を過ごすのにも最適です。岐阜城の旅は、歴史を学ぶだけでなく、自然と触れ合いながら心を解きほぐす体験ができる、まさに一石二鳥の旅といえるでしょう。

名古屋城：徳川家の威厳と近代復元技術の融合を体感

名古屋城は、徳川家康の命により1612年に築かれた巨大な城であり、その規模と豪華さから「尾張徳川家の威信の象徴」として知られています。天守には金の鯱（しゃちほこ）が輝き、城全体が荘厳な雰囲気を放っています。名古屋市の中心部に位置し、アクセスも非常に良好であるため、国内外から多くの観光客が訪れる中部地方最大級の名城の一つです。

現在の天守は戦災で焼失後に再建された鉄筋コンクリート製のものですが、2022年より木造での再建プロジェクトが進行中であり、歴史と現代技術が融合した注目の取り組みとなっています。天守には内部展示が充実しており、城の建築技術、徳川家の歴史、当時の生活文化などがパネルや模型、映像などを通じて学べるよう工夫されています。名古屋城を訪れれば、ただの観光だけではなく、深い歴史教育の場としての一面にも触れることができます。

敷地内には「本丸御殿」が復元されており、豪華絢爛な障壁画やふすま絵、そして当時の武家建築技術の粋を集めた意匠が見どころです。本丸御殿の中に入ると、徳川家の格式高さが感じられる空間が広がっており、訪れる人々を歴史の世界へと誘います。また、庭園や石垣も見ごたえがあり、自然と建築の美しさが調和した景観が魅力です。

名古屋城周辺には、名古屋名物の味噌カツやひつまぶし、きしめんなどのグルメを楽しめる飲食店も多く、城巡りの合間に立ち寄って地元の味を堪能するのもおすすめです。さらに、名古屋市内には徳川美術館や名古屋市博物館など、城と関連する資料が豊富に揃う施設も充実しており、名古屋城を中心にした歴史探訪が1日では足りないほどの密度で楽しめます。

名古屋城は、徳川家の権力と美意識を体現した存在であると同時に、未来に向けてその遺産をどのように継承していくのかという視点からも注目すべき城です。名城巡りの締めくくりや、旅の中心に据える拠点としても最適なスポットです。

観光だけじゃない！名城巡りで味わうご当地グルメの楽しみ方

中部地方の名城巡りは、歴史や建築だけでなく、ご当地ならではのグルメ体験も大きな魅力の一つです。各城下町では、その土地ならではの素材や調理法を生かした料理が多く見られ、旅の合間にその地域の味覚を堪能することで、より豊かな旅の思い出が作られます。城を見るたびに、その場所ならではの料理を味わうという楽しみ方もまた、名城巡りの醍醐味と言えるでしょう。

たとえば、松本城周辺では信州そばが有名で、特に冷たいざるそばは香り高く、のどごしもよいため、観光客に大変人気です。手打ちにこだわる老舗そば店が多く、シンプルながら奥深い味わいが魅力です。上田城のある上田市では、にんにくの効いた「美味だれ焼き鳥」が市民に愛されるソウルフードとして親しまれており、テイクアウトして城跡公園で食べるというスタイルも旅人に好まれています。

また、犬山城のある犬山市の本町通りでは、五平餅や味噌田楽、みたらし団子など、散策しながら食べられる串グルメが豊富です。特に木曽川沿いの自然を眺めながら味わう郷土料理は格別で、観光と食事が一体化した楽しい時間が過ごせます。岐阜城のある岐阜市では、夏季限定で開催される「鵜飼料理」を提供する屋形船があり、長良川の風情ある風景の中で、鮎の塩焼きなど地元食材を用いた料理が楽しめます。

名古屋城周辺では、味噌カツやひつまぶし、天むすなど名古屋グルメの名品が揃っています。少し足を延ばして地元の市場や食堂を訪れることで、観光客向けのグルメだけではなく、地元の人たちに愛される味にも出会えるかもしれません。旅の途中でふらっと入った小さな店が、思い出に残る美味を提供してくれることもよくあります。

こうした食体験は、単なる食事にとどまらず、その土地の気候、文化、人々の生活に触れる手段ともなります。名城巡りを通じて、五感すべてでその地域を体験することで、記憶に残る旅になるでしょう。

中部地方で名城を巡るおすすめルートと移動手段の工夫

中部地方の名城巡りを計画する際、効率良く回るためにはルートと移動手段の工夫が欠かせません。特に1週間という限られた期間で多くの名城を訪れたい場合、無駄のない動線づくりが重要です。ここでは松本城を起点に、名古屋城までを南下するルートを基本に、公共交通機関を活用した移動方法とその利便性について紹介します。

まず、スタート地点として選んだ松本城へは、東京方面から中央本線の特急「スーパーあずさ」を利用すれば約2時間半で到着します。松本市は長野県の中心都市で、宿泊施設や飲食店も充実しており、初日の拠点として非常に便利です。松本を出発したあとは、長野新幹線で上田へ向かい、上田城を見学します。移動時間は約50分ほどで、日帰り観光が十分可能な距離です。

上田から次に目指すのは小諸城址懐古園。こちらはしなの鉄道で上田から約30分とアクセスも良好。小諸ではゆったりと散策を楽しみながら、自然と調和した城跡を体験できます。その後、長野から名古屋方面へ移動する場合、まず長野駅まで戻って新幹線で名古屋へ向かうのが最も効率的です。所要時間はおよそ3時間弱ですが、途中で名古屋以外の城に立ち寄る場合は、岐阜や犬山で途中下車する形で組み込むとよいでしょう。

犬山城へは名古屋駅から名鉄犬山線で約30分。犬山駅から城までは徒歩圏内で、観光のしやすさも魅力です。犬山からさらに南下して岐阜城を訪れる場合は、岐阜駅まで電車で移動し、そこからバスまたはロープウェイで金華山へアクセスできます。これらの移動手段を利用すれば、体力的にも無理のない範囲で名城を巡ることが可能です。

移動に際しては、JRの「青春18きっぷ」や「JR東海＆しなのフリーパス」、あるいは名鉄の「犬山・岐阜エリア1DAYきっぷ」など、お得な周遊券の利用も検討すべきポイントです。これらのチケットを活用することで交通費を大幅に節約でき、その分を食事や宿泊に充てることができます。

ルートの組み方によって旅の充実度は大きく変わります。名城を中心に据えながら、地域の見どころやアクセスしやすい温泉地、食文化の楽しめる街を組み合わせることで、ただの「城巡り」では終わらない深い旅行体験が得られるでしょう。

1週間でめぐる名城旅のスケジュールと無理のない日程設計

名城巡りはその魅力が多い分、詰め込みすぎると疲れがたまってしまい、旅の満足度が下がることもあります。1週間で中部地方の主要な名城を巡るには、余裕を持った日程設計が重要です。ここでは、松本城から名古屋城までを効率よくめぐるためのモデルスケジュールを紹介します。

【1日目】
まずは松本に到着し、松本城を中心とした観光を楽しみます。松本城の天守内部見学には30〜60分ほど、城周辺の散策や博物館訪問、地元のそばを堪能する時間を含めると、半日〜1日を十分に充てたいところです。初日は市内で宿泊し、旅の疲れを癒しましょう。

【2日目】
上田へ移動し、上田城とその周辺を観光。移動時間は電車で1時間未満なので、午前中に着いて午後までゆっくり滞在できます。上田市街には温泉地もあるため、宿泊してゆったり過ごすのもおすすめです。

【3日目】
小諸へ向かい、懐古園をじっくり見学。小諸はこぢんまりとした町なので、半日程度でも充実した観光が可能です。午後は長野または名古屋方面へ移動し、途中の都市で宿泊することを想定すると移動の負担が少なくなります。

【4日目】
名古屋に到着後、犬山へ移動。犬山城と城下町を丸一日かけて楽しみ、情緒ある食べ歩きや文化体験に没頭しましょう。夜は犬山や名古屋市内で宿泊。

【5日目】
岐阜城を目指します。朝のうちに岐阜へ移動し、金華山のロープウェイまたは登山で山頂の城へ。岐阜公園の散策や鵜飼観覧船の予約をしていれば、夜まで満喫できます。

【6日目】
名古屋城を中心に観光を展開します。本丸御殿の見学は時間がかかるため、半日は必要です。また、名古屋市内の徳川美術館や熱田神宮など、歴史的名所を合わせて巡ると一層深みが出ます。

【7日目】
最終日は買い物や軽めの観光、または前日訪れきれなかった場所を再訪する時間にあてます。旅の振り返りをしながら、空港または駅から帰路につくという流れが理想的です。

このように、1日あたり1城を目安に予定を組むと、無理がなく各地での滞在を満喫できます。宿泊地はアクセスと食事の利便性を考えて選ぶと快適です。大都市ばかりではなく、温泉地や自然豊かなエリアも視野に入れれば、よりバラエティ豊かな旅となります。

写真映えスポットも満載！城と自然のベストショット紹介

名城巡りのもうひとつの楽しみ方として、写真撮影があります。中部地方の名城はどれも自然と調和した美しい景観を誇り、歴史的建造物と四季折々の風景が一体となることで、まるで絵画のような一枚が撮れる絶好のスポットが揃っています。ここでは、それぞれの城でぜひ写真に収めたいビューポイントを紹介します。

松本城は、黒い天守と白壁が特徴的で、堀の水面にその姿が映り込む「逆さ城」が大変美しく、朝方や夕方に撮影すると特に幻想的な雰囲気になります。春には桜並木が城を取り囲み、天守とピンクの花びらのコントラストが圧巻です。夜にはライトアップも実施され、昼間とは異なるロマンチックな表情が楽しめます。

上田城では、東虎口櫓門を正面から撮る構図が定番ですが、秋にはその門の背後に広がる紅葉が加わり、鮮やかな赤と歴史的建造物の調和が印象的な1枚になります。また、「真田石」と呼ばれる巨大な石は、アップで撮影するとその迫力をしっかりと伝えられます。撮影ポイントとしては、園内の高台から見下ろす視点もおすすめです。

小諸城址懐古園では、石垣と自然が溶け込む空間全体がフォトジェニックです。特に春の桜、秋の紅葉の時期には、公園内をゆっくり歩きながらシャッターチャンスを探すと良いでしょう。藤村記念館のレトロな建物も風情があり、被写体として人気があります。

犬山城は、その天守最上階からの眺望が最大の魅力です。木曽川を眼下に見下ろす構図は、どの季節でも美しい写真が撮れます。また、城下町の本町通りでは、食べ歩きを楽しみながらレトロな町並みを背景に撮影するのもおすすめです。浴衣姿の観光客と町並みを合わせたショットはSNSでも人気があります。

岐阜城では、金華山山頂からのパノラマが最大の見どころです。晴天時には濃尾平野の先に名古屋の高層ビル群まで見渡せ、まさに「天下を取った男の視界」を体感できる景色です。ロープウェイの車窓からの風景や、山麓の公園から見上げる天守の構図もおすすめです。

名古屋城は、金の鯱と天守を一緒に捉えた構図が王道ですが、本丸御殿の内部にある豪華絢爛な障壁画も写真映えします。また、庭園や石垣も含めたワイドショットで、城全体の存在感を伝える撮影も効果的です。特に夕暮れ時や新緑の時期には、自然光が柔らかく建物を照らし、上品な雰囲気を醸し出します。

いずれの城も、訪れる時間帯や季節によって表情が変わります。写真を撮るだけでなく、その瞬間の空気感や音、匂いまで感じ取りながらシャッターを切れば、旅の記憶をより深く刻むことができるでしょう。名城巡りは、歴史を学びつつ、アートとしても楽しめる贅沢な旅なのです。

歴史好きにも初心者にもおすすめの名城巡りガイドブックと現地資料

名城巡りをさらに楽しむためには、現地の知識を事前に得たり、旅先で配布されている資料を活用することが非常に重要です。歴史に詳しい人はもちろん、これから歴史に触れてみたいという初心者にとっても、しっかりとした情報があれば旅の満足度は格段に高まります。ここでは、中部地方の名城巡りに役立つおすすめのガイドブックや、現地で手に入る資料について紹介します。

まず、旅行前に手にしておきたいのが『続日本100名城公式ガイドブック』や『日本の名城完全ガイド』などの全国的な名城紹介書です。これらの書籍には、各城の歴史的背景、建築の特徴、アクセス情報、見どころなどが丁寧に掲載されており、訪問前の予習に最適です。特に「現存天守」「復元天守」「跡地」の違いや、それぞれの城にまつわる戦国時代の背景を知っておくと、実際の訪問時の理解が深まります。

地域に特化したガイドブックとしては、『信州の名城を歩く』『東海の名城めぐり』といった中部地方にフォーカスした書籍もあります。これらはローカルな視点から作られており、地元の歴史に根差した情報や、一般にはあまり知られていない裏話なども豊富に掲載されているのが魅力です。書店で購入するだけでなく、電子書籍版も多く提供されており、スマートフォンに入れて持ち歩ける点も便利です。

現地に着いてからは、各城の入場券売り場や観光案内所で無料または低価格で配布されているパンフレットが非常に役立ちます。これらの資料には、天守内の構造図や展示物の解説、周辺のおすすめ観光ルートやイベント情報などが載っていることが多く、まさにその場で使える“旅の地図”として機能します。特に松本城や名古屋城など、観光客が多い場所では多言語対応のパンフレットもあり、外国人観光客への配慮も行き届いています。

また、最近では公式アプリやARガイドといったデジタルツールも充実しており、スマートフォンをかざすだけで城の構造が3Dで表示されたり、武将たちの解説が音声で流れるようなサービスも増えています。犬山城や岐阜城などでは、こうした現代的な技術を取り入れた案内が導入されており、子どもや歴史に不慣れな旅行者でも飽きずに見学ができます。

こうしたガイドブックや現地資料は、旅の中で何気なく手にした1枚が、思いがけず記憶に残る発見につながることもあります。名城巡りは知識があればあるほど深く楽しめる旅であり、準備と現地での情報収集が旅の質を大きく左右します。時間に余裕がある際には、資料を片手にじっくりと見学することをおすすめします。

旅の疲れを癒す温泉地＆宿泊地の選び方とおすすめスポット

名城巡りの旅は、想像以上に歩く距離が長く、足腰に疲れがたまりやすいものです。歴史に触れる楽しみと同時に、旅の合間にしっかりとリフレッシュできる宿泊地や温泉地を組み込むことで、体調を保ちながら充実した日々を過ごすことができます。特に中部地方は山岳地帯や温泉地に恵まれており、名城巡りとの相性が非常に良いエリアと言えるでしょう。

まず、松本城を訪れた際には、近郊の「浅間温泉」や「美ヶ原温泉」が候補になります。どちらも松本市街地から車で10〜20分ほどの距離にあり、旅館やホテルが整っているため、アクセス面でも非常に便利です。浅間温泉は、古くから「武士の湯」とも呼ばれた歴史ある温泉地で、戦国武将たちも疲れを癒したと伝えられています。静かな宿で信州の郷土料理を味わいながらのんびり過ごせば、翌日の旅への活力が湧いてきます。

上田城周辺では、「別所温泉」が特に有名です。「信州の鎌倉」とも称されるこのエリアは、古刹や文化遺産も点在しており、温泉だけでなく観光も同時に楽しめるのが魅力です。特に木造の風情ある旅館や共同浴場が多く、歴史好きな人にはたまらないロケーションです。別所線というローカル鉄道に乗ってアクセスする過程そのものも、旅情を感じられる体験となるでしょう。

小諸を訪れる場合は、近隣の「菱野温泉」などが穴場的な存在です。小規模ながらも静かで、山の中にある旅館では四季折々の自然を眺めながら湯に浸かる贅沢な時間が過ごせます。懐古園をのんびりと散策した後に、こうした温泉で心身を休めることで、次の目的地への移動にも余裕を持って臨むことができます。

岐阜・犬山エリアでは、「長良川温泉」が有力な選択肢です。長良川沿いのホテルや旅館では、川のせせらぎを聞きながら湯に浸かれる宿も多く、特に夏には「鵜飼」を見ながらの食事付きプランが人気です。温泉そのものは無色透明で柔らかい泉質を持ち、疲労回復にも効果があるとされています。名古屋市内のホテルでは味わえない、ゆったりとした時間を求める方にぴったりです。

名古屋城観光の際には、都市型ホテルの快適さも選択肢に入りますが、少し足を延ばして「湯谷温泉（奥三河）」や「南知多温泉」など、郊外にあるリゾート温泉地も検討する価値があります。公共交通機関での移動はやや時間がかかるものの、最終日などに一泊して旅を締めくくるには理想的なロケーションです。

このように、城を巡る合間に温泉地を選んで組み込むことで、旅のリズムに緩急が生まれ、心と体のバランスを保ちながら旅を続けることができます。名城巡りはどうしても情報量も多く、歩く距離も長くなりがちなので、適度な休息を設けることが、最後まで旅を楽しく終えるための大切なポイントです。

名城巡りで出会う地元の人々との触れ合いと旅の思い出

名城巡りの旅において、記憶に深く刻まれるのは必ずしも城そのものだけではありません。時には、その土地で出会った人々との何気ない会話や心温まるやりとりが、旅を特別なものにしてくれることがあります。歴史的な建造物を巡るという共通の目的を持ちながら、地元の人々と触れ合うことによって、旅の楽しみはさらに豊かになります。

たとえば、松本城周辺では、観光案内所や城近くの店舗で働くスタッフの方々が、とても親切で親しみやすいことで知られています。「おすすめの写真スポットはどこか」や「地元の人が通うそば屋はどこか」といった質問に、丁寧に答えてくれるその姿勢に触れると、旅人として歓迎されている感覚が自然と湧いてきます。ちょっとした雑談から、松本の気候や文化について知ることができるのも、観光ガイドには載っていない“生の情報”として貴重です。

上田や小諸では、比較的観光客が多すぎず、地元住民と接する機会が多い点が特徴です。上田市内では、真田家にちなんだ土産物を販売している店の店主が、子どもの頃から真田幸村の話を聞かされて育ったというエピソードを語ってくれたり、小諸の懐古園では、園内の清掃スタッフが花の開花状況や見頃を教えてくれたりと、地域の暮らしと観光が近い関係にあることを実感できます。

また、犬山城の城下町では、食べ歩きを楽しんでいると、屋台の店主が「これ食べてみて！」とおすすめを手渡してくれるような気さくな対応に出会うことも珍しくありません。岐阜では、金華山の登山道を歩いていると、地元の登山愛好家と自然に会話が始まり、岐阜城についての思い出話やおすすめルートを教えてくれることがあります。こうした交流が、単なる“観光客”ではなく“旅人”として、その土地に受け入れられたような気持ちを呼び起こしてくれます。

名古屋では都市ならではのビジネスライクな一面もありますが、それでも地元の食堂や小さな商店街では、昔ながらの人情味にあふれたやりとりが楽しめます。「名古屋城はもちろんいいけど、熱田神宮も行ってみるといいよ」といった地元目線の提案は、旅の視野を広げてくれるものです。

地元の人との触れ合いは、予定にはない“偶然”から生まれることが多く、それこそが旅の醍醐味と言えるでしょう。その瞬間に得た会話や微笑み、親切なひと言が、帰宅後も心の中で何度も思い出される宝物になるのです。名城巡りは、歴史と建物を味わうだけでなく、その土地に生きる人々との対話を通じて、時代と今がつながる“生きた歴史体験”になることを忘れてはいけません。

中部の名城を巡った後に訪れたい周辺のおすすめ観光地

中部地方の名城巡りを終えたあとでも、周辺には魅力的な観光地が数多く存在します。名城の歴史に触れた流れのまま、地域の自然や文化、伝統を感じる場所を巡ることで、旅はさらに奥行きあるものになります。ここでは、名城巡りとセットで訪れたい中部のおすすめ観光地を紹介します。

松本城を訪れた後には、「上高地」への小旅行がおすすめです。松本駅からバスで約1時間半というアクセスの良さながら、そこはまさに別世界。清流・梓川が流れ、穂高連峰を望む絶景が広がる自然の宝庫で、散策路が整備されており、軽装でも美しい自然を堪能できます。歴史と自然、両方に触れることで、旅にメリハリが生まれます。

上田城を訪れた後には、軽井沢まで足を延ばすのも良い選択です。上田からは新幹線で約30分とアクセスも快適で、ショッピング、グルメ、自然、どれもが楽しめる高原リゾートは、旅の締めくくりにも最適です。歴史旅の中に、ちょっとした優雅な休暇を取り入れることで、全体の印象もぐっと豊かなものになります。

小諸からは、「佐久市こども未来館」や「臼田の天文台」など、家族向けの体験型観光地へ向かうのもおすすめです。あるいは、小海線に乗って八ヶ岳高原を目指すという旅も可能です。鉄道ファンや写真好きの方にも人気の路線で、のどかな車窓の景色を楽しみながら次の目的地へと向かう贅沢な時間が過ごせます。

犬山城周辺では、「明治村」や「リトルワールド」といったテーマパーク型の施設があり、歴史建築や世界の文化を体感することができます。どちらも犬山駅からバスでアクセス可能で、子ども連れにも人気です。城下町の散策とはまた違った楽しみ方ができ、文化への興味がさらに広がるきっかけになるかもしれません。

岐阜城を訪れた後には、「関ヶ原古戦場」へ足を運ぶのもおすすめです。岐阜駅から電車で約30分と日帰り圏内にあり、日本史最大の合戦の舞台として知られるこの地は、戦国時代ファンなら一度は訪れたいスポットです。最新の展示やVR体験が用意された記念館もあり、よりリアルに歴史を感じられるようになっています。

名古屋城の観光後には、「熱田神宮」や「徳川美術館」など、徳川家ゆかりの史跡や文化施設を訪れるのが自然な流れです。また、時間に余裕があれば、伊勢神宮へ足を延ばして“お伊勢参り”を旅の締めくくりにするという選択もあります。名古屋からは近鉄特急を使えば2時間程度で到着でき、国内随一の聖地を訪れる旅が実現します。

このように、中部地方の名城巡りは、その後の観光へも広がりやすく、行動範囲を少しだけ広げることで、より充実した旅程を組むことができます。名城の余韻を胸に、その土地の魅力を余すことなく味わうことで、人生の記憶に残る旅が完成するのです。

まとめ

中部地方には、日本の歴史と自然が織りなす美しい名城が数多く点在しており、それぞれの城には独自の背景や風情が詰まっています。松本城から始まる名城巡りは、黒の天守に見とれることから始まり、真田家の知略を体感する上田城、自然との調和が心地よい小諸城址懐古園、現存天守の迫力に息を呑む犬山城、天下を望んだ織田信長の岐阜城、そして徳川家の栄華を今に伝える名古屋城へと

この旅を成功させるためには、移動手段や日程設計、体力配分への配慮が不可欠です。各地で味わえるご当地グルメや温泉の癒し、そして地元の人々との触れ合いが、ただの観光旅行を「体験」へと昇華させてくれるでしょう。また、旅の途中で手に入る資料やアプリを活用することで、理解を深めながら各地の歴史と対話することが可能になります。

さらに、名城巡りを終えた後には、自然や文化、さらなる歴史に出会える周辺の観光地が数多く存在し、旅を多層的に楽しむことができます。名城巡りとは、単なる建築の鑑賞ではなく、日本の風土や文化、人の心に触れる旅であり、時間をかけて丁寧に味わう価値のある体験です。

ぜひ、あなた自身のペースで、歴史と自然が織りなすこの中部地方の名城たちを巡り、心に残る1週間の旅を完成させてください。